鴨居玲おじさんのはなし
社会生活との距離感を調整するため鴨居玲を見てきた。
このおじさんは良いですね。
社会にフィットしていない感じが良い。ガス自殺しちゃってるし。
鴨居氏の生年月日についてのエピソードが面白いので、Wikipediaの記事なんかちらっと読んでいただけるとこの人物に対する味わいが増すと思います。
いろいろ作品を見た中でも教会をモチーフにした一連の絵がとても気に入った。斜めになってたり、宙に浮いてたり。教会ってそういう風に扱って良いやつじゃない気がしていたんだけど、気のせいだったのかもしれない。
色使いも温かみがなくグッド。赤がばちっと使われた人物画なんかもあったけど、赤かろうが何だろうが冷たい。重い。仄暗い。暖色とか寒色とか、そういうのって絵が放つ印象にはあんまり関係ないんだなって思った。
画材がこびりついたパレット、珊瑚礁みたいになってたなあ。
鴨居氏の写真も数点拝見しましたが、これがまた何と申し上げますか、非常にもみあがっていました。
役者だと言われても信じてしまいそうなくらいの男前なのだけれども、どういうわけか些か情熱的過ぎるもみあげをしていらっしゃり、その点もぼくにとっては良い印象を残した。
男前なのに何かしらこじらせている人はやさしい目線で見てやりたくなる。
JR駅構内などでよくポスターを見掛ける今回の鴨居玲展ですが、東京ステーションギャラリーで7月20日(月・祝)まで開催中。
この美術館、東京駅の中にあって造りもなかなか楽しいので、そういう意味でも興味がある方は行ってみると良い。
ぼくは結局社会生活との距離感の調整には失敗したようなので、最後に大好きなホルスト・ヤンセンを読者に押し付けるなどして立ち去りたいと思います。
ヤンセン。また生で見たい。