ふむふむつまり
休日。
今日は一日気分が優れなかったし、これは結構尾を引きそう。
おしっこもろくに出やしないよ。
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蛇遣いは蛇のことが好きで好きで堪らなかったのだけれども、蛇と仲が良いこと以外に何の取り柄もなかった彼は、蛇の厚意に甘え、蛇遣いとして生きる道を選んだのであった。
蛇遣いの仕事は蛇をぶんぶん振り回すなどする為、蛇にかかる負担が大きい。そればかりかまるで蛇が格下であるかのような演出が常とされているから、蛇遣いはひどく心を痛めていた。
「へび山さん、痛くないですか、大丈夫ですか」
公演中も蛇遣いは蛇のことを大袈裟に心配した。こっそりと何度も声を掛け、蛇が体調を崩していないか細心の注意を払った。ほかにも「今日の晩ご飯は何がいいか」だとか、「最近はよく眠れているのか」だとか、時に観客のいぶかしがる目も忘れて蛇に声を掛けた。
「ねこ太郎くん、私は大丈夫だから、ショーに集中しなさい。それがプロフェッショナルというのものだよ」
見兼ねた蛇が何とか諌めるので、講演はいつもそこそこの成功を収めることができた。どうにか食事にありつけるだけのお金を稼いで、そうすると二人はまた次の舞台を求めて旅へ出る。西日が差し込む列車の中で、蛇は自分がしっかりしているうちに蛇遣いを蛇遣いから卒業させてやらねばなるまいと考えていた。
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その後おしっこはした。
今日の昼間は先日読んだ『スクラップ・アンド・ビルド』の読書感想文を記してみようかと意気込んでいたのだが、九百字ほど書いて投げ捨ててしまった。とくに今日のような荒んでいる日は、誰か他の人が為したことについて感想を述べるというのに不向きな気がした。またいつか好機が訪れたら未だ未読のままの『火花』と合わせてこっそりと感想を述べたいと思う。
精神的にどうのこうの、と格好の建前を得たことで昼間から酒を飲み、罪滅ぼしのつもりで父用のノンアルコールビールを発注し、十六時過ぎにそれが届いたのを良いことに一時間あまり惰眠を貪ってしまった。やっと秋らしさが顔をのぞかせ始めたかと思ったのに今日は暑かった。暑くてじとじと。その中で眠ってしまったので顔面は脂ぎり、全身をくまなく気怠さが覆う事態となった。これからうまく眠ることができるのか不安で仕方ないが、明日はたのしいたのしい苦役デーなので気持ちを切り替えていかねばならぬ。